Monitoring Gaps

Sheron McLean, MD

Dear Rapid Response:

基本的な麻酔モニタリングに関する米国麻酔学会の基準では、麻酔薬を投与されているすべての患者では、酌量すべき状況下を除いて、少なくとも5分に1回動脈血圧のモニタリングが必要とされている。 1患者の体位や動脈ラインの留置のための血圧測定自動サイクルの一時停止などの様々な理由で、モニタリングのギャップが発生する可能性がある。その際、麻酔専門家は定期的な測定を再開しそこねることがあり、これはモニタリングギャップの拡大につながり得る。このような人的要因に加えて、システムの問題もある。Michigan大学医学部の多くの手術室で使用されているGeneral Electric(GE)社製CARESCAPE B-850などの一部の患者モニターの設計の特徴として、最後に測定された血圧が表示されるが、この測定値が現在のものでなかったとしても視覚・聴覚アラームが発せられることはない。実際に表示されている血圧が新しい測定値でなかったとしても、今血圧が測定されているという誤った印象につながりうる。これは、アラーム音が鳴るECGケーブルや温度ケーブルが取り外された際に警告音が鳴るのとは対照的である。さらに、カフの取り付け不良またはカフ自体の不良があったとしても、アラームを発することなく血圧測定を続けようとすることがある。これらの事例は、モニタリングのギャップにつながり、患者の安全を損なう可能性がある。Michigan 大学医学部には、患者モニタリング装置と統合し、実際の問題および潜在的な問題についてアラームを提供するように設計されたシステムがある。このシステムは、モニタリングのギャップについて麻酔担当者に警告を発する。ただし、そのアプリケーションが手術室で開かれ実行されている必要があり、最新の血圧測定値が得られなければ6分経過した際に麻酔専門家に警告するためのビープ音が1回鳴る。GEの上記のモニターにおいて、5分間新しい血圧測定値が得られない場合に警告を発するという単純なソフトウェア的に解決できる問題であるようにも思われる。これだけで確実にモニタリングのギャップに関する問題をなくすことはできないが、簡単に是正できる問題が存在する、ということがわかる。

よろしくお願いいたします。
Sheron McLean, MD

Dr. McLeanはミシガン州アナーバーのミシガン大学医学部麻酔科の臨床助教授(日本の講師・助教に相当)である。


Dr. McLeanは、この記事に関し利益相反はない。


参照

  1. American Society of Anesthesiologists. Standards for basic monitoring (1986). https://www.asahq.org/standards-and-guidelines/standards-for-basic-anesthetic-monitoring. Accessed March 2, 2019.

 

回答:

手術室での非侵襲的血圧測定と表示の課題を強調していただきありがとうございます。患者モニターを設計する際、GE Healthcareはケアを提供するための最新の業界基準とトレンドをサポートしようとしています。設計プロセスはまた私達の機器の信頼性そして有用性に関する患者および臨床家のフィードバックを含んでいます。

CARESCAPE B850患者モニターを含むCARESCAPEシリーズの患者モニターは、複数の医療分野で使用するように設計されています。GEヘルスケアは、さまざまなケア分野がさまざまな方法でモニター機能を利用していることを認識しています。また、1つのケア分野内においても異なった使用例がある場合もあります。そのため、CARESCAPEモニタリングプラットホームは柔軟に設計されており、臨床家が患者のニーズを最もよくサポートするようにモニターを構成することができます。

非侵襲的血圧(NIBP)の表示オプションは、特定のニーズに合わせて設定できる柔軟な機能の1つです。一例として、新生児集中治療室の患者は一般に頻繁なNIBP測定を必要としません。そのため、CARESCAPEモニターソフトウェアは、最後の測定値を最大4時間表示するようにNIBP測定用に設定できます。ただしその場合、60分後以降は測定値がグレーアウトします (図1)。対照的に、手術室の患者はより頻繁なNIBP測定を必要としますが、そのためにCARESCAPEソフトウェアはNIBPの測定が自動的に5分サイクルに設定され(図2)、測定値は5分後に表示されなくなります(図3)。

NIBPは「通常の」白い文字で表示される。

NIBPは「通常の」白い文字で表示される。

NIBPは「グレーアウト」の白いテキストで表示される。<br><br>例に示したNIBPは、NIBP値が測定してから時間がたつと色が変わる。例として、モニタ構成に応じて30または60分経過することにより色が変化する。

NIBPは「グレーアウト」の白いテキストで表示される。

図1:例に示したNIBPは、NIBP値が測定してから時間がたつと色が変わる。例として、モニタ構成に応じて30または60分経過することにより色が変化する。

自動NIBPサイクルをオンにするには、ユーザーはNIBPウィンドウ(図2、ステップ1)を選択して、非侵襲的血圧設定ウィンドウを開くことができます。セットアップウィンドウから、ユーザーはドロップダウンメニューを使って適切なサイクルタイムを選択することができます(図2、ステップ2)。サイクルの間隔として、それぞれ1、2、2.5、3、4、5、10、15、20、30分および、1、2、4時間を選ぶことができます。サイクルの間隔を選択すると、ユーザーは[Start Cycling]を選択して[NIBP Auto]機能をオンにすることができます(図2、ステップ3)。

図2:"General Electric (GE) CARESCAPE B -850" NIBP自動サイクル構成。

図2:”General Electric (GE) CARESCAPE B -850″ NIBP自動サイクル構成。

モニターのデフォルトを設定するときに、ケアユニット設定 > パラメータ の項目の下に、NIBP表示タイムアウト時間を選択するオプションがあります。「5分」を選択すると(図4)、最後のNIBP値が取得されてから5分後にNIBP値が消去され、破線(図3)に置き換えられます。NIBP表示タイムアウト時間のその他のオプションには、30分/ 1時間と60分/ 4時間があり、選択に応じて最後の測定値が1時間または4時間表示され、測定値は30分または60分後に「グレーアウト」されます。 (図1)。

図3:この図は、タイムアウト後のNIBP表示を示している。

図3:この図は、タイムアウト後のNIBP表示を示している。

図4:NIBP表示タイムアウトの選択。

図4:NIBP表示タイムアウトの選択。

臨床家がNIBP測定値が最後に取得された時期を認識するのに役立つもう1つの機能として、数値表示があります。NIBPサイクルタイムディスプレイが数値ディスプレイに設定されている場合(この構成は、モニター設定 > ケアユニット設定 > パラメータの下にあります)、最後にNIBP測定された時間がNIBPパラメータウィンドウの右下に表示されます(図5)。このタイムスタンプは、手動および自動NIBP測定値の両方で表示されます。NIBP自動サイクルがオンになっている場合は、次のNIBP測定がスケジュールされるまでカウントダウンが行われます(図5)。

図5:NIBPのタイムスタンプと次のサイクルまでのカウントダウン。

図5:NIBPのタイムスタンプと次のサイクルまでのカウントダウン。

モニターがNIBP測定を試みている場合、カフス圧がパラメータウィンドウの右側に表示され、測定を試みていることを視覚的に示します。収縮期および拡張期の値が削除され、カフ圧が「0」と表示される場合、これはモニターが血圧測定値を取得できなかったことを示します。NIBP自動モードでモニターを操作すると、モニターは次回設定された測定間隔で別のNIBP測定値を自動的に捕捉しようとします。ただし、血圧の捕捉を防ぐ条件が残っている場合、自動測定モードは無効になり、数値は空白のままになり、測定値の代わりに破線を表示します。緩いカフなど、血圧測定ができない技術的な理由がある場合、モニターは技術的アラームの原因を特定するのに役立つメッセージと共に聞き取れるアラームを提供する。

血圧測定に使用可能な設定構成の詳細については、CARESCAPEモニターの取扱説明書を参照するか、GE Healthcareにお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。
Cory Stahl

Cory StahlはGE Healthcare社の患者モニタリング事業のグローバルマーケティングマネージャーである。


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Jeffrey Feldman, MD, MSE